畑が教えてくれたこと 2015年11月号 ニュースレターより

畑がおしえてくれたこと2

< 炭素循環の行く末。秋の研究会を通して。 >

もう1月半前になってしまいましたが、9月16日にたんじゅん農についての研究会を安曇野で開きました。皆様への告知が1週間前だったにも関わらず、30名の参加者がありました。

「炭素循環が廻り始める土に転換していくのは、丁度、家を建てるようなものなんだ。土は微生物の家であるし、作物の家とも言える。その家づくりを中途半端で投げ出しちゃってる人が多いんじゃないかな。基礎を打って、柱を立てて、屋根をかけて壁も内装もね、もうこれで大丈夫だというところまで作って置けば、あとはもうほとんど手をかけることはないということが分かってきた。」

松本駅近くのホテルまで迎えに行った車の中で林さん(炭素循環農のウェブサイト執筆者・ブラジル在住)がブラジルで実践している農家の様子を色々とはなしてくれました。「なのに、屋根もかけないでそこでやめてしまうから、柱も腐るし、土台も崩れちゃう。高級マンションをきちっと用意して、人が暮らすためにライフラインが必要なように、畑の土に水分も空気も微生物の種類と数、そして必要な炭素分が充分あれば、あとは空気中からもどんどんと窒素固定していくし、エネルギーが吸引されて作物を育てていく。作物の残渣があればほぼ大丈夫。炭素資材を外部からずっと入れ続けなければ炭素循環が成り立たない、というのは勘違いなんだ。どうしてみんなバラック小屋建てたぐらいで諦めたり、やった気になって満足しちゃうのかな。」と。

ブラジルで長く実践している野菜農家でそれが検証されてきて、3年間何も入れないところの畑がこれまでと同じだけ、さらに安定して収穫が出来ているのだと。炭素資材を入れ続けなければならないという観念は、私の頭にもあったと思います。日本のように森林資源も豊富で、炭素資材には困らない国はいいけれど、世界中にはそんな条件のそろわない場所も多いわけです。また、日本でも炭素資材の取合いをするような状況になったら大変だなという思いはありました。

そこまで持っていくために、初めの数年は炭素資材の投入や、土に空気を入れる為、水はけを良くする為の工夫にいろいろと手がかかっているのですが、これでいけるとなったら、炭素資材を補給しなくても、必要であるとしてもそれまで投入していた量の数分の1でよくなる。ただ、微生物たちの量と種類がしっかりと生息できる環境にするためには、かなりのエネルギー、初期投資が必要になります。今まで肥料や農薬で土を傷めてきた度合いが大きければ大きいほど、その修復にはエネルギーも時間もかかってしまうのです。

穂高で野菜をつくっているマツザワさんの畑はすでに良い循環が廻り始めているように見えます。近くにキノコ屋さんがあるので十分な廃菌床をこれまで使ってきましたが、これまではいくらかミミズが出たりして、発酵と腐敗のギリギリのあたりのように僕には見えていたのですが、今年から炭素資材としての廃菌床を入れなくしてから、さらに野菜の出来が安定し美味しくなっているのです。

おぐらやま農場の果樹園では、これまで5シーズンやり続けてきた無肥料で炭素資材の補給、そして2年前に通路に掘って作った深さ80センチの溝のある桃畑・りんご畑の様子を見てもらいました。殺虫剤・殺菌剤などを当地標準の3割以下の減農薬栽培でも、今年は一層健全な葉が茂り、収穫間近のシナノスイートが大きく玉伸びしているところをみんなに見てもらうことが出来ました。

そしてそれと対比する意味合いで、今年の春から私達が世話をすることになり、摘果・草刈などの管理作業や防除など同じように手をかけてきた畑も見てもらいました。この畑は9月初めごろから褐斑病(かっぱんびょう)の症状がいくらか出てしまい、健全な葉が茂っているとは言えない状況になっていました。(右の写真)おそらくはお盆後から9月始めまで続いた信州ではめったにない長雨の影響を受けて病気になってしまったのかと見ていました。

その場に参加していた石川県の果樹試験場で技師をやっている若林さんが、「これはきっと長雨で水が土にたくさん入ってしまったときに根の末端とかが窒息してしまったかな。」と言うのです。「水没して根が弱ったり部分的に死んでしまったりすると、それに合わせてバランスを取るように葉の方も病斑を作って働かない部分を作る。長雨の水がどれだけ降ってきてもみんな吸い込んでしまうぐらい土が団粒化して耕土が深くなっているか、水の逃げ道がしっかりできていれば、根が傷むことはないから大丈夫だ」と。たんじゅん転換5年の畑ではその環境がある程度出来ているから、同じ管理でも立派にりんごが実り、葉は頑健に展葉してくれていたのです。

褐斑病の解決法としてあってるか間違っているかはともかく、こんなことをいう人がいるんだと思いました。人間の頭で考えることが基準だと「病原菌を殺菌するための農薬はこれだ」となってしまうしそれで話が終わってしまって普通です。ところがりんごの樹を基準に見ていくと、全然違う解決法が出てくる。これが面白い所で、百姓がやるべき本当の仕事なのだと思うのです。

10月21日の若林さんが主催した石川でのたんじゅん研究会に、今度は私が車を走らせて参加させてもらいました。高く盛り上げた畝を作り、排水路を備えたイチジク畑では、無肥料無農薬栽培で立派な実がついていました。これぞ高級マンションです。加賀平野の水田地帯ですから、地下水位も高く、年間降水量が2600㎜を超える場所。普通に果樹を植えて育てるにはなかなか大変な場所だと見えるのですが、やり方次第ではここまでできる。(ちなみに長野県の年間降水量平均は900㎜台。3分の1近い値なのです) 畑に入って何を見るか、何を感じるか。果物栽培好適地の信州安曇野で、どんなりんごたちのお世話ができるでしょうか。おぐらやま農場の果樹園はまだまだこれから。どこまでいけるのか楽しみな秋になりました。

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