畑が教えてくれたこと 2015年12月ニュースレターより

畑がおしえてくれたこと2

<一枚の葉が教えてくれる>

ふじりんごの収穫時期はおぐらやま農場では毎年11月10日~15日頃に始めることが多いです。これはりんごの開花時期がその年の冬の寒さと春に向かっての温度で決まってくるので、当然早く花が咲けば実をつけて熟してくる時期も早くなる傾向になり、その反対もまた然りですので若干のずれが出ます。またその後の、春から秋にかけての気候がどうだったかによっても変わってきますし、どんな肥料をどんな時期に与えたか、剪定をどう切ったか等と要素がいくつもあるので結局のところはその年の最適な収穫時期を決めるのは毎日の観察に依るところとなります。「毎日の観察」と言えば聞こえはいいですが、要するにその時期になると毎日畑で試食の為にりんごにかぶりついているということです。夏の杏から桃・梨・洋梨・りんごとそれぞれの果物にも数種類があり、それごとに試食が仕事になる訳ですので、食いしん坊の私にとってはなんと素敵な仕事なのでしょうか!

そんなことをもう15年続けてきて、ふじりんごについてよくわかったことが一つ。「葉の色は正直に答えを出す」ということです。11月13日に撮った写真が右上にありますが、これぐらい葉が黄色くなった樹から収穫したりんごならほぼ間違いなく完熟し、透き通るような甘さとりんごの芳香が立ち上るいい味が出てきています。11月中旬を過ぎても葉の緑が抜けずにあるりんごの樹から収穫する実は味にまだ青さが残り、糖度はあるのですが後味に渋み・苦みを感じるものが多いのです。以前からおぐらやま農場のりんご畑では一般的な畑と比べて葉の色が黄色くなる特徴がありましたが、今年はことさらにそれが分かりやすく鮮やかに色づきました。この違いはいったいどこから来るのでしょうか。

愛知県で炭素循環農に取り組む方が先日視察に来られて、こちらの圃場を見学し私からもお話をする中で、りんごの葉っぱの色の話をすると「なるほど、葉物野菜でも窒素分が効きすぎて硝酸態濃度が高くなってしまったものは緑が濃くて一見元気があって美味しそうに見えるんですよ。だけどすぐに傷み始めて商品にならなくなる。食べても苦いんです。私もたんじゅんに出会ってやり始めたら野菜が変わってくるのが分かってきました。味の違いは生で食べてみればすぐにわかりますし、色は緑が薄くなって明るい緑になってきます。きっとこのりんごの樹の葉っぱでも同じことが起こっているのでしょうね。」

りんごの収穫量を増やそうと、NPK(窒素・リン酸・カリ)の「肥料の3要素」と今の農学で言われるバランスがとれた配合肥料を何キロ散布しなさいと指導するところもありますし、その指導に沿って毎年たくさんの配合肥料やアンモニア窒素が散布されます。そして土に使い切れない窒素分が蓄積されて、雨が降るたび水に溶けた窒素分が根から半強制的にりんごの樹に吸われていく。それは晩秋になっても青々と茂り黄色く色づかないりんごの葉っぱたちとなり、そのおかげでりんごの実は丸々と玉伸びして大きくなってくれますが・・。11月末から12月始めで気温が氷点下を大きく下回る日が多くなりきつい霜に当てられた葉は黄色く色づく過程がないまま茶色く縮れて少しずつ落葉していきます。片や一面に黄色く色づいた葉は木枯らしのような風が来るとハラハラと落葉し易く、散り際も見事に潔く散っていきます。

おぐらやま農場では当地標準(農協指導防除暦)の3分の1以下という基準で10年以上低農薬に取り組んでいますが、今年は4分の1以下でおさまり、それでも例年よりも病虫害の発生が少なくなりました。部分的には虫食いが出たり、先月書いた褐斑(かっぱん)病が葉に発生したりもありますが、まだ借りたばかりの畑か、原因が特定できる1部分で済んでくれました。ジュース加工にまわるりんごの割合もかなり減らすことができた年でした。

りんごの実や葉が虫に食べられたり病原菌に侵されたりの現象は、言葉を変えて言えば生命力の弱ったものが淘汰され、腐敗・分解されて次のいのちへ姿を変えていくことです。それは自然界の理であって何も理不尽なことが起こっているわけではないと思います。そして肥料がたくさん撒かれてしまったりんごや野菜たちに病気がでたり虫食いが出たりするのはその場に生えている作物たちの生命エネルギーが弱ってしまっているということに他なりません。

前述の愛知の方が人参畑で人参を引き抜いて言いました。「このバランスがいいですね。葉が小さい。人参の長さと同じくらいでいいんですよ。肥料の効いた畑だと葉が茂って茂ってしょうがないんです。葉が小ぶりだと人参も小さいように思うけれど、健全で仕事をしてくれる葉っぱは小さくても人参は十分に育ってくれる。」 そしてその人参をかじって「全く嫌な味がないですね。あちこち有機農法で作る人参を食べてきましたがこれはなかなかない味ですよ」と褒めてくれました。

そういえば近所に住んでいる友人が、生まれてまだ半年余りの赤ちゃんに離乳食でうちの人参を茹でて食べさせていたのですが、切らしてしまったのでスーパーの人参を茹でて食べさせたら吐き出してしまったそうです。「たんじゅんの野菜が美味しいとか体にいいとかって大人の頭で考えて食べている訳じゃないのにね」と笑っておりました。「人参嫌いの子ども」の原因が子どもに有るわけではなく、人参が美味しくないから嫌いになるのです。ドレッシング・調味料でそれをごまかすことはできるかもしれませんが(使っちゃいけないという意味ではありませんが) でもそれは畑の土が美味しくない事の結果です。

炭素循環の畑で育つ作物は、それまでに比べて節間が短く、葉が小さくなる傾向が顕著にみられます。トマトやピーマンがそうですし、おぐらやま農場の人参やりんごでもそうなってきています。ところが葉野菜のレタスや小松菜などでは明るい緑色の葉がどんどん大きくなり収量は明らかに増えます。そして大きくなっても(なりすぎたように見えても)筋が固くならず甘みのある美味しさが続くのです。これも不思議です。りんごの葉がどう展葉し、どう色を変化させ、そして落葉していくのかをよく見ていくとその樹が何を欲しがり、何を要らないと言っているのか、どんな気持ちでそこにあるかを感じることができます。

ちなみに「叶」という漢字に「一枚の葉」という意味があることをご存知でしたか。不覚にも僕は自分の子どもにこの漢字を使って名前を付けておきながらその意味を知ったのは4年ほど前。中国人の方が遊びに来てくれた時、子ども3人の名前を墨書して壁に貼ってあったのをみて「3人とも素敵な名前ですね。末っ子くんは農場で育つ子どもにはピッタリのいい名前ですね」とその意味を教えてくれたのです。末っ子の彼が3人の中でも一番畑が好きで野菜の世話をやりたがるのはそういうことだったのかと得心がいったのでした。彼に今年はスイカを作りたいと熱烈に頼まれ、一緒に苗を植えて成長を見守り、収穫近くなってきたときには毎日ポンポンと叩いて熟した音を確かめていました。「叶」の字は中国語でyeと発音すると「葉」の意、xieの発音で「協」の意で「力を合わせる、睦まじく打ちとけあう」の意味を持つのだそうです。(あきお)

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