畑がおしえてくれたこと 2016年5月ニュースレターより

畑がおしえてくれたこと2

< 使えるものは何でも使う >

5月4日に、たんじゅん農実践者交流会を安曇野で開催し、20名以上の方が集まりました。6年前に私たちの農場で転換開始してからほぼ年1回か2回開催しています。今回は「炭素循環農法・百姓モドキの有機農法講座」というウェブサイトを執筆しているブラジル在住の林さんが来てくれて一緒に畑見学をまわってくれ、いろいろなやり取りがありました。たんじゅん農へ転換して6年以上経過した圃場やこれから転換していく畑や、いろんな状況の畑見学ができました。

最近、たんじゅん農実践者で「太陽熱処理」についてよく話題になります。これは野菜などを植え付ける前に透明ビニールでマルチし、太陽熱で土の表面温度を上げて(70℃程度まで)雑草の種を熱処理しそのあとの雑草管理を容易にする方法として使われていた方法でした。また、慣行農法の野菜圃場ではフザリウムやセンチュウといった土壌病害対策として「クロルピクリン」「臭化メチル」といわれる薬剤が使われ続けてきましたが、効き目がなくなって来たり、費用対効果の面でも大きな問題となって、それに代わる土壌消毒方法として注目されてきています。透明マルチの両端をきちんと土に埋めて張っていくと晩秋から早春の寒い時期でなければ、70℃以上の温度にすることはそれほど難しくありません。

私の場合は人参の作付前に雑草対策としてここ数年は必ず行う方法でした。ところが雑草が生えないだけでなく、作物の出来具合がとても良いという報告が全国から次々と出て、おぐらやま農場の人参もここ数年の人参の出来具合が本当に素晴らしいので、いったい何がよかったのかと分析する為には、この太陽熱処理によって引き起こされている事象をよくよく解明しておく必要があったのです。林さんが言うには「腐敗処理」という側面があるのではないか。つまり土の中にある腐敗するようなものは作付前に意図的に腐敗させておくとその後の土壌環境が発酵しやすくなるのではないかと。太陽熱+腐敗発酵熱で地表面温度70℃の高温と、マルチ被覆直前のたっぷり灌水で水分過多状態、さらにマルチ内の酸素は腐敗過程で全て使い果たされて酸欠状態と、腐敗しやすい環境を意図的に作っておき、腐敗するものはガスとして放出しておく。

太陽熱処理後は、処理前に畑に補給してあった炭素資材(有機質)にキノコ菌たちがのびのびと取りつき、これをエサとして爆発的に増え、土壌の中にコロニーを作って団粒構造化・菌類と細菌が多様化・階層化していく。「腐敗処理」によって、腐敗要因が土の中からなくなり、上記の発酵サイクルがスピードアップするのではないか。これを「土のリセット」というとわかりやすいかもしれません。

これまでも前述の「土壌中に菌類(主にキノコ菌)と細菌類の種類と数を増やす」という目的の為に、土の中に炭素資材を用意してキノコ菌たちがそれを食べ、増えていく環境を作っています。それこそが作物の養分になっていくからです。もちろんそれだけでも畑は変わっていくのですが、2~3年の時間を必要とする場合がほとんどで、なかなか結果が出ないと農業者としては生活がかかっていますから焦りも出ます。さらに雨の多い日本では土の中に大雨が溜まってしまうとその度に、せっかく増えた菌類が水没して死んでしまい、団粒化しかかった所がまた元に戻ってしまうので、水はけのよい畑にするための工夫がいろいろとされてきたのです。これを「腐敗処理」という「死のサイクル」の部分を短時間で通過させ、そのあとにくる「生命のサイクル」を引き込むのです。人参畑の団粒化が大きく進んだ(棒刺しで1メートル以上楽に入る状態)3年前は、まさに太陽熱処理を始めた年と合致しますし、その年から人参の葉っぱを食べに来ていたキアゲハ幼虫が全くいなくなった事も合致します。

たんじゅん農では「使えるものは何でも使う」「不自然な事はしても、反自然な事はしない」とよく言います。ビニールマルチを使うというと、○○農法実践家の方には拒否反応の出る方もいるかもしれません。これが不自然なことなのか反自然なことなのかは落ち着いて考えてみる必要があると思います。人間の頭がその人なりに作り上げた「自然」のイメージと、目の前の自然現象・土壌の変化や作物の成長の背後にある事実とを混同してしまうと混乱のもと。もちろん「透明マルチで太陽熱処理をすることが炭素循環農法だ」と言いたい訳ではありません。今の状況を把握して、臨機応変に「使えるものは何でも使う」で、どれだけ頭を柔軟にして、自由な発想で目の前の作物や土たち微生物たちに関わっていけるかが面白い所だと思います。

「焼き塩」の話も出ておりました。塩を焼くと塩の性質が変わるそうです。もちろん味も変わります。そして水に溶かして畑に撒くと雑草が減るという方がいます。本当でしょうか。一度やってみようと思います。昔の塩はにがり成分が多く空気中の水分を吸着して塩そのものがべとべとしており、料理の時に使いやすくするためにも、一度焼くか炒るかしてサラサラの塩にしておく家が多かったと聞きました。製塩技術の変化で、サラサラに塩が作れるようになると焼いて使う人はほとんどいなくなり、現代ではほぼ見かけなくなっています。焼き塩には還元作用が働くようですので、焼き塩を浴槽に入れると温まり方がよくなりお肌もツルツル、もちろん飲用してもよいし、農薬のついている食材を付けておくと化学物質の中和、畑に撒いて使えば発酵促進と、いろいろな使い方が出来る。これも必要とあらば「使えるものは何でも使う」ということです。

そんな話題も満載で楽しい交流会になりましたが、初めて参加していた方で、小布施で無農薬栽培りんごに取り組んでいる方がいました。ただ、病気や虫に毎年さらされてだんだん樹が弱って収穫量が減少しているのでどうしたらよいだろうかと悩んでおられました。志を持って取り組んでこられたこれまでの道のりを思うと、本当に頭が下がりますが、農業に取り組む限りは基準にするのは自然でありりんごの樹や畑の土です。人間の「農薬をかけるのは嫌だ」という思いが基準になり目的化すると無理が出ると思いますが、その圃場で何が起こっているのか、ぜひ一度見学に行かせてもらいたいと思っています。Hさん、その時はどうぞよろしくお願いいたします。

それから、横浜から参加されていた果樹農家のYさん。福島の原発事故以来、横浜でこれまで手掛けてきた梨やブドウ・柿等の果樹園で収穫した農産物から放射能が検出されてしまって、すっかり生産意欲を失っておられました。今もメルトダウンした原発から放射能が出続けているし、この先自分の出荷した農産物が原因で誰かの健康を害することになるのであれば、もう横浜は引き払って安曇野辺りでやってみようかなという事を最後の懇親会の席上でお話されていたのです。
東北・関東の農産物から今も放射能が検出されてしまうというのが事実なのか、私はよく知らないのですが、原発事故で放射能の影響を受けた地域の場所でたんじゅんに取り組んでいる人たちの多くは、土壌微生物の発酵過程で放射能除染が出来るとみている。「使えるものは何でも使う」がここでも出てきます。そして何より畑や仕事に向かう意欲が放射能に負けていないのです。Yさんにも、意志をもって営農に取り組む人たちの輪の中で、これからの道を探ってもらいたいと思っています。(あきお)

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